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【株主優待クロス取引】 貸株料とは?日数や計算方法、土日の数え方、証券会社比較などについて。

貸株日数イメージ(カレンダーとオブジェ)

この記事は、株主優待の取得でクロス取引を行う際に発生する「貸株料」に特化した記事となっています。

特に、一般信用取引を利用して、権利付最終日より数(十)日前にクロス取引を行う場合の参考記事です。

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はじめに

株主優待の取得でクロス取引を行う際、制度信用取引を利用して権利付最終日(もしくは直前)にクロス取引する場合は、貸株料はほとんど気になりません。

一方で、一般信用取引を利用して権利付最終日よりずいぶん前にクロス取引する場合は、一気に貸株料の負担が大きくなる場合があります。

また、証券会社ごとに違う料率が定められていたり、土日祝日を挟む場合はどうなるのかなど、理解せずに優待の取得に踏み切ると、優待品の価値を取得費用が上回ってしまうような、思わぬ落とし穴も存在します。

この記事では、2019年9月の株主優待取得時を例に、貸株料のカレンダーを使った日数の数え方、土日の数え方、金額の計算方法、証券会社ごとの年率比較などをご紹介します。

 

貸株料とは?

貸株料はよく逆日歩と混同されますので、まずはその違いも含めて。

信用取引を利用する場合、買建は、証券会社から現金を借りて株券を買うので、その現金に対して金利が発生します。次に売建は、現金ではなく株券を借りることになるので、その貸し出し料が発生します。これが貸株料です。

一方で逆日歩は、制度信用取引で売建した人たちに貸し出す株券が、証券会社で不足してしまったときに発生する費用です。

機関投資家などから有料で調達してくることになりますが、ここで発生したコストが売建した人たちから徴収されるのが逆日歩です。非常に高額になることがあるので、最大の注意が必要なコストです。

貸株料は、制度信用、一般信用ともに発生しますが、逆日歩一般信用取引では発生しません。そのかわり、一般信用の貸株料率(短期)は制度信用に比べて高めに設定されています。

また、貸株料と逆日歩は、ともに借りた日数分のコストが発生しますが、日数の数え方も違います。貸株料は、売建した時点で必ず1日分は発生しますが、逆日歩は、売建したその日のうちに買い戻せば一切発生しません。

つまり、株主優待でクロス取引を行う場合、権利付最終日に売建し、翌営業日の権利落ち日に現渡しすると、貸株料は最低でも2日分、逆日歩は最低でも1日分発生することになります

 

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貸株料の日数と計算方法

約定日と受渡日の関係

普段、我々個人投資家が株を買ったり売ったりしている日は「約定日」といって、取引自体は成立していますが、まだ決済は行われていないため、権利は確定していません。権利が確定するのは、実際に決済が行われる「受渡日」で、「約定日」の2営業日後になります。

 

貸株料の日数や土日の数え方

2019年9月の株主優待取得時を想定してご紹介します。

9/1 9/2 9/3 9/4 9/5
クロス
約定日
9/6 9/7
9/8 9/9
クロス
受渡日
9/10 9/11 9/12 9/13 9/14
9/15 9/16 9/17 9/18 9/19 9/20 9/21
9/22 9/23 9/24 9/25 9/26
権利付
最終日
9/27
権利落
現渡
9/28
9/29 9/30 10/1
現渡
受渡日
10/2 10/3 10/4 10/5
  • 9月5日にクロス取引で約定⇒2営業日後の9月9日受渡日
  • 9月27日の権利落ち日に現渡⇒2営業日後の10月1日受渡日

貸株料は、受渡日、土日、祝日、すべてを含めて日数を数えます。緑色の日から緑色の日までと考えるとわかりやすいと思います。

数えると23日間であることがわかり、この日数が貸株料の支払い日数です。

ちなみに、権利付最終日にクロスして、権利落ち日に現渡した場合ですが、受渡日が9月30日と10月1日になりますので、貸株料は、9/30・10/1の2日分でよいことがわかります。

 

貸株料の計算方法

株価×株数×貸株料率÷365日×日数=貸株料

 

例えば、株価が2,500円、優待取得に必要な株数が100株、一般信用取引の貸株料年率3.85%、事前にクロスして、上記の例のように23日分の貸株料が必要だった場合、

2,500円×100株×3.85%÷365日×23日分≒606円 

となります。売買手数料も考慮すると、優待の価値が1,000円程度では、ほとんど利益が出ないか、あるいは手数料次第では赤字になってしまうと考えられます。

 

これが、制度信用取引で権利付最終日にクロスする場合になると、ずいぶん話が変わってきます。貸株料年率1.10%、貸株日数2日分、逆日歩発生無しの場合、

2,500円×100株×1.10%÷365日×2日分≒15円

となり、売買手数料を考慮しても、十分利益が狙えます。

 

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貸株料(年率)の証券会社比較

貸株料(年率) 制度信用取引 一般信用取引
短期 長期または無期限
GMOクリック証券 1.10% 3.85% 0.80%
カブドットコム証券 1.15% 3.90% 1.50%
松井証券 1.15% 2.00%
SBI証券 1.15% 3.90% 1.10%
楽天証券 1.10% 3.90% 1.10%
  • 証券会社によって返済期日が異なります。
  • 証券会社によって一般信用の売建ができる銘柄が異なります。
  • 一般信用取引の「長期」「無期限」を同じ項目で表示してあります。

一般信用取引で売建ができる主な証券会社を比較しました。計算してみるとわかりますが、正直、年率の差で大きなコスト差は生まれません。

手数料や自分にとっての使いやすさの方が重要だと思われます。ただ、手数料に関しても上記の結果と同じように、GMOクリック証券が最も優位な状況にあります。

 

参考記事

【GMOクリック証券】株主優待の取得におすすめの証券会社

2019年8月追記:GMOクリック証券で一般信用売りサービスが開始されて1年が経過しましたが、株主優待取得時に一般信用売りができる銘柄は99%以上が「短期」です。料率の低い「無期限」は、現状、期待できそうもありませんので、銘柄(約定代金)ごとに証券会社を使い分けることが重要だと考えられます。

 

おわりに

株主優待でクロス取引を行う場合、逆日歩の発生しない一般信用取引の売建は非常に魅力のあるサービスです。

今回ご紹介した貸株料の計算をしっかりと行えば、ほぼ100%の確率で利益が出るかどうかの計算ができます。

一方で、私も何度も経験がありますが、制度クロスよりも一般クロスの方がコスト増になってしまう可能性も十分にありますので、経験を積んで両方のやり方を身に着けることが、優待マスターへの近道になるのではないでしょうか。

 

優待マスターへの近道はこちら

 

※金額・ルール等は2019年8月現在を基準にしています。詳細は各WEBサイト等でご確認ください。

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