「auカブコム証券」におけるクロス取引(つなぎ売り)を、実際の優待銘柄、日にち、時間、取引画面などと共にリアルタイムで解説します。
具体的には、以下の内容でのリアルタイム進行です。
- 日時:2019年8月26日(月)19:00頃~9月27日(木)9:30頃
- 8月26日:クロス取引の発注
- 8月27日:クロス取引の約定
- 9月27日:権利落ち日の現渡
- 銘柄:CEホールディングス(4320)
- 優待基準日:2019年9月末日
- 優待内容:QUOカード1,000円分
- 数量等:100株(約11万円)
- 手法:一般信用クロス取引(つなぎ売り)
- 一般信用買い×一般信用売り+買建玉の品受+品渡
- コストを抑えるための一般信用買い
- 逆日歩のかからない一般信用売り
- 一般信用買い×一般信用売り+買建玉の品受+品渡
記事内容は、簡単な信用取引・クロス取引の知識が備わっていることを前提としていますので、もし、まだご自身で「足りていない」と感じる方は、こちらの関連記事をご覧ください。
auカブコム証券における一般信用売り「長期」のスケジュール
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
8/25 | 8/26 35日分 |
8/27 34日分 |
8/28 33日分 |
8/29 30日分 |
8/30 29日分 |
8/31 |
9/1 | 9/2 28日分 |
9/3 27日分 |
9/4 26日分 |
9/5 23日分 |
9/6 22日分 |
9/7 |
9/8 | 9/9 21日分 |
9/10 20日分 |
9/11 19日分 |
9/12 15日分 |
9/13 14日分 |
9/14 |
9/15 | 9/16 | 9/17 13日分 |
9/18 12日分 |
9/19 8日分 |
9/20 7日分 |
9/21 |
9/22 | 9/23 | 9/24 6日分 |
9/25 5日分 |
9/26 2日分 |
9/27 現(品)渡 |
9/28 |
9/29 | 9/30 | 10/1 | 10/2 | 10/3 | 10/4 | 10/5 |
- カブコムの一般信用「長期」売建可能銘柄の返済期限は10年。
- SBIやGMOの一般「短期」銘柄のように解禁日を考える必要なし。
- 逆に「短期」では考える必要がなかった「信用事務管理費」を頭に入れておく必要あり。
- と言っても、ほとんどの場合、売玉保有期間約1か月あたりで110円(税込)程度。
- 2019年9月末日権利銘柄の場合、8月26日までにクロスすると管理費がかかる。
- 今回は、それを事前に調べた上で8月27日にクロス。
- 詳しくはこちら《公式:信用取引売買手数料以外に必要な諸費用は?》
- その他の条件は、どの証券会社でも同じ。
- 権利付最終日:9月26日、権利落ち日(品渡する日):9月27日
- 貸株日数は株を借りている日数分必要(カレンダーの○日分)。
- 今回は、クロス日が8月27日なので貸株日数は34日分。
- 一般信用クロス取引なので、逆日歩の発生は無し。
- 予定しているコスト
- 信用買い手数料145円+信用売り手数料145円+金利8円+貸株料153円≒451円
クロス取引の発注【8月26日(月)19:00~21:00】
他のネット証券での発注作業《19:00~19:10頃》
この記事はリアルタイム解説なので、この日に行った作業を忠実に記録すると、19時からの10分間程度はGMOクリック証券で在庫争奪戦に参加していました。
▼日にちは違いますが、この記事と同じようにリアルタイム解説の記事があります。
【GMOクリック証券】クロス取引(つなぎ売り)リアルタイム解説!
優待繁忙期は、月の半分以上がこの日と同じ流れです。
一般信用売りの発注《19:10~20:00》
カブコムには、SBIやGMOのような争奪戦はありません。毎営業日、19時から20時は「抽選申込受付」時間となっており、在庫株数に制限がある場合、翌営業日分の売り注文は、この時間帯に入った注文から抽選によって配分されます。
▼さらに詳しくまとめた記事はこちら
【auカブコム証券】抽選申込み、スケジュール、仕組み、ルールなどについて
というわけで、慌てることなく争奪戦への参加後にカブコムの発注作業に入ります。
- 「一般信用(長期・売短)売建可能銘柄一覧」を開く
- ログイン後、「お取引」-「信用」-「一般信用(長期・売短)売建可能銘柄一覧」の順
- 一般信用売建可能銘柄一覧または銘柄検索ができる画面
- 検索窓に「4320」と入力して検索ボタンを押す。
- 下段に「CEホールディングス」の情報が表示されるので、「弁済期限」や「新規売建可能数量」を確認して「新規」ボタンを押す。
- 実際には、在庫株数量は900株でした。
私の場合は、抽選に参加する銘柄を事前に決めいているので「銘柄検索」を利用しますが、検索をせずに、1000番ずつの銘柄コード順で一覧を表示することも可能です。
ただ、権利月は考慮されていないので、検索した方が圧倒的に早いのは間違いありません。
また、「弁済期限」もよく確認してください。「長期」と「売短」を間違えている雰囲気の注文をよく見かけます。というのは、この画面の「新規売建可能数量」の欄に19時~20時までの間、抽選倍率が表示されて、どれくらいの注文が入っているかわかるような仕様になっているんです。
前日まで「長期」だった人気銘柄が急に「売短」になったときや、在庫がいきなり現れたときが危険です。私も「でたか!」と勘違いすることがしばしばありますので注意しています。
- 信用新規建玉画面(発注画面)
- この流れで発注画面に来た場合、「一般信用(長期)」と「売り新規」は既に選択済み。
- 「数量」に「100」株と入力。「執行条件」は「成行」を選択。
- 「確認画面へ」ボタンを押し、次画面で内容を確認したら「注文する」ボタンで注文。
確認画面は省略しています。また、違う流れでこの画面に来た場合は「一般信用(長期)」や「売り新規」は選択されていませんので、ご自身で選択してください。
一般信用売りの注文が終わったら、このまま抽選結果を待ちます。抽選は20:00~20:30の間で順番に行われているようです。
当選の確認と一般信用買いの発注《20:30~20:45》
当選した場合は、そのまま注文の受付となって失効することはありませんので、急いで買いの発注作業を行う必要はありませんが、この記事では早めの作業を推奨したいため《20:30~20:45》としています。
また、「現物買い」ではなく「一般信用買い」でクロスする理由は、
- 現物+一般売り=現物手数料194円+信用手数料145円=339円(別途貸株料)
- 一般買(その後 品受)+一般売り=信用手数料145円+金利8円+信用手数料145円=298円(別途貸株料)
となり、若干コストを削減できるからです。必ず品受(現引)が必要になる点にご注意ください。
それでは、まず抽選結果のお知らせメールから。
8時22分に来ていたメールです。9銘柄に注文を入れて当選は1銘柄のみ。当選したCEホールディングスの抽選倍率は、およそ3倍でした。
ただ、メールを見ても次の作業には入れないので、ほとんどの場合は次の画面で当選確認と買い注文の作業を行います。
- 一般信用売り予約中の画面(当選した注文の画面)
- 「お取引」-「信用」-「注文訂正・取消」で当選注文を確認。
- 当選した注文の「銘柄名」を押してクロス取引のもう一方、買い注文へ。
- 「投資情報」画面を経由して一般信用買いの注文画面へ
- 「新規」を押して信用新規建玉画面(発注画面)を開く。
- 信用新規建玉画面(発注画面)
- 「取引区分」は「一般信用(長期)」を選択。「売買」は「買い新規」を選択。「数量」に「100」株と入力。「執行条件」は「成行」を選択。
- 「確認画面へ」ボタンを押し、次画面で内容を確認したら「注文する」ボタンで注文。
※確認画面省略。
クロス取引の注文内容を確認《20:45~21:00》
- 当選確認と同じ「注文訂正・取消」画面
- クロス取引の注文内容に間違いがないかどうか、青枠の項目を重点的に確認する。さらに詳しく確認する場合は「予約中」を押して注文詳細を確認。
この注文内容で翌営業日の寄付きを迎えるため、成行の買い注文と売り注文が入っているか、数量は同じになっているか、売買区分に間違いはないか、などを中心に最終確認を行います。
クロス取引(つなぎ売り)の発注作業は以上です。解説は1銘柄ですが、実際には、慣れてくると何銘柄も同時にこの作業を行うことになります。まだ実践経験の浅い方は心して挑んでみてください。
クロス取引の約定確認と「品受」注文【8月27日(火)前場(推奨)】
クロス取引の約定確認《前場(推奨)》
後場でも問題ありませんが、買建玉の品受作業もあるので、この記事では前場を推奨しておきます。また、もう一つの推奨理由も後述します。
- クロス取引の約定確認を行うための「信用建玉」画面
- 「資産管理」-「残高照会」-「信用建玉」で一覧画面を開く。
- 次の作業、「買建玉の品受」を行うために「品受」ボタンを押す。
今回、私が行ったクロス取引は、「一般信用買い×一般信用売り+買建玉の品受」ですので、約定確認は、次の作業である「買建玉の品受」のために「残高照会」-「信用建玉」で行いました。
「現物×一般信用売り」でクロス取引を行った場合の現物は、「残高照会」-「現物株式」や「取引履歴」-「現物株式」でも約定確認を行えます。
また、前場で約定確認を行った方が良いもう一つの理由は、株価に大きな影響を及ぼす材料(好決算やTOBなど)が出て、クロス取引が成立しないケースがあるからです。
材料によってはSTOP高またはSTOP安でしか取引が成立せず、自分の注文も、ほぼどちらか一方しか約定しません。
このケースでは、翌営業日の株価が前営業日の株価と大きく乖離するため、ほとんどの場合で悲劇的な損失が出てしまいます。
私は、途中で気付いたので損失は出ませんでしたが、2度このケースに遭遇したことがありますし、大損した人を2度見たことがあります。
遅くとも大引けまでにこの状態に気付けば、注文の取消で難を逃れることはできますが、こういったケースに遭遇しても落ち着いて対処できるように、約定確認は早めに行った方が無難です。
日中、お仕事で忙しい方は特に注意してください。大損の話を聞いたのは、どちらも日中忙しかった方です。
買建玉の品受注文《前場(推奨)》
- 買建玉の「品受」ボタンを押した後の品受注文画面
- 「全選択」または「100」株と入力、「返済」にチェック、「確認画面へ」ボタンを押し、次画面で内容を確認したら「注文する」ボタンで注文。
※「確認画面」は省略。
「品受」は「現引」とも呼び、買建玉の返済において、売返済を行わずに自分の口座資金で株式を引き取ることで、結果的に現物株式を保有することになる返済方法です。
口座資金が足りないと品受できませんのでご注意ください。
現物株式と信用建玉の確認
最後にクロスポジションの確認を行います。
- 現物株式は「資産管理」-「残高照会」-「現物株式」で確認。
- 一般信用売建玉は「資産管理」-「残高照会」-「信用建玉」で確認。
- 同じ数量の現物と信用売りを確認してクロス発注終了。
保有状況に問題がなければ、このまま権利落ち日まで放置となります。
コスト確認(途中)【8月27日(火)前場~】
クロス取引の約定や品受の直後から、手数料・金利・貸株料(日数分)の確認が行えます。
以下の作業は、慣れてくるとほとんど行わなくなりますが、クロス取引に慣れないうちは、本当に自分が予定した通りのコストで優待を取得できるのかどうか、大事な確認作業になります。
また、この作業は早い段階で行わなければ、あまり意味がありませんので、推奨は「約定日当日」です。
買いのコスト確認(確定コスト)
「一般信用買い+品受」で取引が確定しているので、「取引履歴」でコストを確認することができます。
- 「資産管理」-「取引履歴」-「信用」で、信用取引の取引履歴を表示
- 「詳細」ボタンで「建玉詳細」を表示して、手数料・金利等を確認。
買いのコストは確定していて、予定と違っていても、もうどうにもなりません。ミスがあったら次への反省材料です。
売りのコスト確認(途中コスト)
「売り」は一般信用取引を利用して、株をカブコムから借りたままの状態なので、金額(貸株料)は途中経過です。そのため、「残高照会」の「信用建玉」で確認を行います。
- 「資産管理」-「残高照会」-「信用建玉」で、信用建玉の一覧を表示
- 「詳細」ボタンで「残高詳細」を表示して、手数料・貸株料等を確認。
手数料は確定していますが、貸株料は途中経過です。画像は、約定日初日のものなので、1日あたり4.578円が小数点以下を切り捨てられて4円と表示されています。
最終的には34日分の貸株料を支払う予定なので(4.578円×34日≒155円)。事前に計算した通りの金額なので予定通りのクロス取引が行えていることを確認できます。
- 早い段階でコスト確認を行えば、大幅な計算ミスがあった場合に直ぐに対処して損失を最小限に食い止めることができます。
権利落ち日の「品渡」注文【9月27日(金)~前場までに(推奨)】
品渡の当日締め切り時間は「○○:○○まで」といった感じで、証券会社ごとにルールがあります。つまり、この時間を過ぎてしまえば翌営業日分の受付になるので、早い段階で「品渡」注文を入れることが可能です。
ですが、ここに時間を書いてしまうとルールが変更されたときに誤情報となってしまうので、公式ページのリンクを貼るだけにとどめます。かなり重要な時間です。《公式:当日中に品受・品渡をするには何時が締め切り時間ですか?》
私の場合は、証券会社ごとのルールを逐一把握する自信がないので、いつも日付が変わってからの注文です。
推奨は「前場までに」としていますが、これは、カブコム側または自分側の通信トラブルの可能性を考慮したものです。
- クロス取引の最後、「品渡」を行うための画面
- 「お取引」-「信用」-「品受・品渡」で一覧画面を開く。
- 「品渡」ボタンを押して品渡注文画面へ。
- 株式の分割が行われたため、100株だった保有が200株に変更となっています。
- 「品渡」ボタンを押した後の品渡注文画面
- 保有しているすべての建玉が対象で良ければ「全選択」ボタンを押す。
- 今回のクロス取引の対象となっている「CEHD」のように、品渡と同じタイミングで株式の分割が行われるケースが多々あります。自分がクロスした時点で100株だったからと言って、数量に「100」と入力してしまうと保有株が残ってしまうので、そうならないためにも通常は「全選択」ボタンで数量を自動入力します。
- 「確認画面へ」ボタンを押し、次画面で内容を確認したら「注文する」ボタンで注文(確認画面は省略)。
- 保有しているすべての建玉が対象で良ければ「全選択」ボタンを押す。
カブコム証券における「品受・品渡」は、24:00を境に、注文がそれより前であれば翌営業日の受付で取消も可能、それより後の場合は注文と同時に即時決済となるルールのようです。
「品渡」の注文内容は以上です。時間さえ気を付ければ、非常に簡単な作業となります。
「品渡」の約定と最終コストの確認【9月27日(金)前場(推奨)】
- 「資産管理」-「取引履歴」-「信用」で、取引履歴を表示
- 「詳細」ボタンで「建玉詳細」を表示して、確定していなかった「貸株料」を確認
- 分割で2つに分かれてしまいましたが、通常は1つ。貸株料:153円+2円=155円
- 手数料はすでに確定済みの金額:145円(税込)
これでクロス取引のすべてのコストが確定しましたので計算します(買いのコストはすでに確定済み)。
- 一般信用買い
- 手数料:145円
- 買方金利1日分:8円
- 買建玉の品受:無料
- 一般信用売り
- 手数料:145円
- 貸株料34日分:155円
- 売建玉の品渡:無料
- 確定コスト合計:453円
- 予定コスト合計:451円
予定通りに「4320 CEホールディングス/100株/QUOカード1,000円分」のクロス取引を終えることができました。
おわりに
次回は2~3か月後、「配当金・配当落調整金の清算」・「優待品の到着」で更新の予定です。
↑2019年から2020年にかけて、カブコム証券ではさまざまな取引ルールの変更が行われたので、上記の内容は別の機会に改めることといたしました。
また、GMOクリック証券でもクロス取引のリアルタイム解説を記事にしています。
【GMOクリック証券】クロス取引(つなぎ売り)リアルタイム解説!
※記事内容は、2019年8月~9月が基準となっています。
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