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株主優待クロス取引(つなぎ売り)にかかるコスト/取得方法ごとに解説

クロス取引にかかるコスト(計算機とオブジェ)

 

株主優待を取得する上で最も大事なことのひとつ、取得費用(コスト)についてのご紹介です。

私の株式投資歴は10年以上です。さらに、株主優待総獲得回数1,000回以上、株式トレード回数10万回以上(なぜこんなに多いかはプロフィールで)。

こんな私でも、株主優待を取得するためのポジションを取るときは、細心の注意を払いますし、すごく緊張します。

この業界には、とにかく複雑な仕組みが存在していますので、まさか」が起きる確率を少しでも減らすためには、勉強しかありません

ただ、株式のトレードに関しては、どんなに勉強しても負けるときは負けます。でも、株主優待は違います。勉強と経験で知識を身につければ、勝率100%も夢ではありません

実際、私の株主優待での勝率は(どうでしょう…今思い出してみても負けた記憶が頭の奥の方から出てこないんですが、たぶん何度かは負けてるので)99%前後です。

「勝ち」の秘訣は大きく分けて2つ、「知識」と「マイルール」にあると思っています。今回はこの「知識」のご紹介です。

また、説明を具体的にするために、auカブコム証券の通常プラン、インターネット利用時の取引手数料・その他諸費用を採用、株主優待取得のために必要な株数を100株、株価を1,500円と仮定してご紹介します。

  • 2021年3月現在、auカブコム証券の信用取引手数料は無料、かわりに品受・品渡手数料が、以前の信用取引手数料とまったく同じ料金体系で発生する仕組みとなっています。
  • 記事内の信用取引手数料は、品受・品渡手数料に置き換えてお読みください。合計コストに変化はありません。

 

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現物株式を買う

クロス取引の記事なのでここは軽く。

クロスせずに現物を買いますので、株主優待を取得するために必要な資金15万円以外には、

  • 買うときの「現物株式手数料」:198円
  • 売るときの「現物株式手数料」:198円(株価変動なし)

が必要になります。費用合計:396円。売るのは10年後かもしれませんので、手数料体系が変わってるかもしれません。

 

「現物買い×制度信用売り」のクロス取引

この方法で一番多いと思われる、権利付最終日にクロス取引、権利落ち日に現渡(品渡)を想定します。必要資金15万円以外には、

  • 現物買いの「現物株式手数料」:198円
  • 制度信用売りの「信用取引手数料」:148円
  • 制度信用売りの「貸株料 2日分」:9円
    • 計算式…15万円×1.15%÷365日×2日分=9円
  • 制度信用売りの「逆日歩 〇日分」:???円
    • 計算式…品貸料率〇円×品貸日数〇日×株数=???円

が必要になります。費用合計:355円+逆日歩。逆日歩は権利落ち日の翌営業日になるまでわかりません。優待取りで最も気を付けなければならないのは、この「逆日歩」です。

 

 

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「現物買い×一般信用売り(短期)」のクロス取引

クロス取引が、権利付最終日よりちょっと前で、貸株日数が7日分必要だった場合を想定します。必要資金15万円以外には、

  • 現物買いの「現物株式手数料」:198円
  • 一般信用売りの「信用取引手数料」:148円
  • 一般信用売り(短期)の「貸株料 7日分」:168円
    • 計算式…15万円×5.85%÷365日×7日分=168円

が必要になります。費用合計:514円。「制度信用売り」と違い、「一般信用売り」では逆日歩が発生しません。最も怖い「逆日歩」が発生しないことで注目されています。

 

 

「現物買い×一般信用売り(長期)」のクロス取引

クロス取引が、権利付最終日よりかなり前で、貸株日数が40日分必要だった場合を想定します。必要資金15万円以外には、

  • 現物買いの「現物株式手数料」:198円
  • 一般信用売りの「信用取引手数料」:148円
  • 一般信用売り(長期)の「貸株料 40日分」:369円
    • 計算式…15万円×2.25%÷365日×40日分=369円
  • 一般信用売りの「信用事務管理費」:110円
    • 建日起算で1か月毎の応答日を越えるたび、1株につき11銭(最低110円、上限1,100円)

が必要になります。費用合計:825円。「制度信用売り」と違い、「一般信用売り」では、「短期」と同じように「長期」でも逆日歩は発生しません

 

「長期」になって初めて出てきたのが「信用事務管理費」です。auカブコム証券の「Q&A」を抜粋します。

■信用事務管理費
新規建日より起算した1ヶ月毎の応答日を越えるたび、1株につき11銭(税込)(単元株制度の適用を受けない銘柄は110円(税込))、100円に満たない場合は110円(税込)、上限1,100円(税込)の信用事務管理費が発生します。同一銘柄で同一約定日の建玉はまとめて算出し、売り建玉と買い建玉は区別いたします。
なお、「課税区分(特定・一般)」「取引区分(制度・一般)」が異なりましても同一銘柄で同一約定日の建玉の場合にはまとめて算出し、株数の多い順に按分いたします。
※事務管理費の応答日(1ヶ月)の判定は、新規建玉日の翌月の同日付(例えば3/14に新規建てした場合は、4/14で1ヶ月、5/14で2ヶ月)となります。3/14に新規建てを行い、4/14(応答日)に返済された場合には事務管理費は発生いたしません。4/15に返済した(応答日を越えた)場合より発生いたします。

引用元:auカブコム証券-Q&A よくあるご質問

このように、一般信用売りの「長期」を使って権利付最終日よりかなり前にクロスする場合は、「信用事務管理費」が発生する場合があります。

ただ、上限があるので、忘れていてもそれほど大きな痛手とはなりません。

 

 

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「一般信用買い(+現引or品受)×一般信用売り(長期)」のクロス取引

クロス取引が、権利付最終日よりかなり前で、貸株日数が40日分必要だった場合、それに、手数料を少しでも節約するために現物買いではなく一般信用買いを利用し、クロス当日に現引(品受)をする場合を想定します。必要資金15万円以外には、

  • 一般信用買いの「信用取引手数料」:148円
  • 一般信用売りの「信用取引手数料」:148円
  • 一般信用買いの「買方金利 1日分」:15円
    • 計算式…15万円×3.79%÷365日×1日分=15円
  • 一般信用買いの買建玉を品受:0円(カブコムの場合15:14まで当日扱い)
  • 一般信用売り(長期)の「貸株料 40日分」:369円
    • 計算式…15万円×2.25%÷365日×40日分=369円
  • 一般信用売りの「信用事務管理費」:110円
    • 建日起算で1か月毎の応答日を越えるたび、1株につき11銭(最低110円、上限1,100円)

が必要になります。費用合計:790円。現物買い 198円に対して、一般信用買いは、手数料 148円+金利 15円=163円となり、35円安くなっているのが分かります。

約定代金が大きくなるほど、この「安くなる金額」も大きくなる傾向があります。

 

配当金・配当落調整金について

今回、配当金・配当落調整金については、記事内容から除外しています。

除外の一番の理由は、取得費用(コスト)にはならないからです。正確に言うと、一時的に口座残高は減りますが、最終的には戻ってきます。しかも、制度信用取引(逆日歩が発生する方)を利用したクロスでは、利益が出てしまいます。

詳しくは、以下の参考記事を見ていただきたいのですが、年初自動的に払いすぎた税金を口座に戻すためには、「特定口座(源泉徴収あり)+株式数比例配分方式」を選択しておく必要があります。

この設定(手続き)を行っていないと、払いすぎた税金を取り戻すために確定申告をしなければならなくなり面倒です。(何らかの理由で申告が必要な方はこの限りではございません)

 

 

損益通算の内容はかなり複雑なので、確定申告をしたくない一般的な方は特定口座(源泉徴収あり)+株式数比例配分方式の設定だけは押さえておいてください。

 

※記事内容は2021年3月が基準となっています。

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