2019年現在、株主優待制度を導入している企業は約1,500社。これは上場企業の約4割にあたり、個人投資家が投資銘柄を決定する際の指針のひとつになるほど注目されているそうです。
10年前の2010年頃と比較してもその数は1.5倍。優待内容に関しても、長期保有株主を優遇する制度、複数の優待品から選択できる制度、全国的に利用できる金券類など、株主メリットを考慮した優待品が増加傾向にあります。
この記事では、我々個人投資家が株主優待生活を始める準備段階として、株主優待の基礎知識、優待品の種類、株主優待のもらい方などについて解説しています。
筆者の株主優待歴は約13年、取得回数は目算で1,000回以上、家計の節約にも直結する非常にメリットの大きな資産運用ですので、きっと読者の皆様のお役に立てることと思います。
株主優待とは
基礎知識
導入企業数 | 約1,500社 |
導入理由 | 株主還元、株式保有の魅力向上、企業CM、 上場基準の維持、株価の安定対策 など |
優待品の種類 | 自社製品・商品、QUOカード、ギフトカード 食事優待券、買物優待券、カタログギフト、 サービス利用、優待ポイント など |
優待価値 | 数百円~数万円まで幅広い |
優待券の おつり |
ほとんど出ない |
優待券の 有効期限 |
半年から1年のものがほとんど |
株主優待の 取得条件 |
証券取引口座。 権利確定日に株主であること。 |
権利確定日 | 決算期に合わせた月末を基準日とする 企業が多い。優待の実施は、年1回の 企業が多く、次に多いのが年2回。 |
優待品の種類
自社製品・自社商品
食料品や小売業を主力事業とする企業の多くは、自社で製造・販売している商品を優待品として採用しています。
企業側には、株主に対する還元価値を大きくすることができたり、企業CMになるといったメリットがあり、株主側には、大きな優待価値の商品がもらえたり、ファンである企業の商品がもらえるといったメリットがあります。
▼自社製品・自社商品の参考記事
- 【名糖産業(2207)】株主優待「お菓子の詰合せ」が到着しました。
- 【ダイドーGHD(2590)の株主優待】
QUOカード・ギフトカード など
株主の利便性を重視した場合で最も多いのが、QUOカード」・「ギフトカード」・「おこめ券」など、無期限で全国的に利用できる金券類です。
企業側は、株式の継続保有メリットを最大限に高められますし、無論、株主側のメリットは優待品の中でも最大級となります。
▼ギフトカード・商品券の関連記事
食事優待券・買物優待券
自社で飲食店舗、販売店舗を持つ場合に多いのが「食事優待券」「買物優待券」です。
ほとんどの場合、期限付きでおつりは出ません。
優待券は、ファンになってもらうきっかけになりますので、特に飲食店の場合は、優待価値が大きな優待券が多くなっています。
- 例:「7616 コロワイド」…500株(投資額 約100万円)で年間40,000円相当の食事ポイント
- 例:「3197 すかいらーくHD」…1,000株(投資額 約200万円)で年間34,000円相当の優待カード
※金額は2021年3月現在
その他の優待品(カタログギフトなど)
その他にも多種多様な優待品がありますが、中でも人気が高いのは、「カタログギフト」や複数の商品群から好きな商品を選択できるタイプの株主優待です。
画像は、筆者が「カタログギフト」を利用してもらった商品の一例ですが、多いものでは数百~数千種類の商品の中から選択できますので、「選ぶ楽しみ」もあります。
▼カタログギフトの参考記事
- 【日本管財(9728)】株主優待「ギフトカタログ2,000円相当」が到着しました。
- 【VTホールディングス(7593)の株主優待】
株主優待の取得条件
数々の優待品を見て「ほしい!」「やってみたい!」と感じましたか?株主優待をもらうためには、ある一定の条件をクリアする必要があります。
ただ、難しいことは一つもありません。強いて言えば、「難しい」より「面倒」の方が圧倒的です。
この記事を読んでいただいている方の中には、まだ、証券取引口座さえ開設していないという方もいらっしゃるかもしれません。
この項では、株主優待を継続的に取得していくための絶対条件を提示します。それは
- 証券取引口座
- 株を買うためのお金
極端に言えばこの2つです。最低条件。もちろん、即時入金ができるネットバンキング、優待銘柄を調べる知識、株を保有するタイミング、株価変動リスクを排除するためのクロス取引など、レベルアップにはさまざまな知識が必要となってきますが、苦労した以上のリターンを期待できるのが「株主優待」です。
次項で、株主優待をもらう権利を得るための「株式保有のタイミング」について解説します。
株主優待のもらい方
権利付最終日、権利落ち日、権利確定日について
株主優待をもらうためには、企業が定める基準日、すなわち「権利確定日」に「現物株式」を保有している必要があります。まずは、下の図をご覧ください。2019年8月末日が権利確定日の場合です。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
8/25 | 8/26 | 8/27 | 8/28 | 8/29 | 8/30 | 8/31 |
9/1 | 9/2 | 9/3 | 9/4 | 9/5 | 9/6 | 9/7 |
8月28日 | 権利付最終日 | この日までに現物株式を保有する |
8月29日 | 権利落ち日 | この日に売っても権利は消えない |
8月30日 | 権利確定日 | 株主としての権利が確定する日 |
8月の末日である31日は休場日の土曜日なので、8月30日が権利確定日となります。
8月30日の権利確定日に株主としての権利を確定させるためには、8月28日の「権利付最終日」の時点で現物株式を保有している必要があります。
これは、株式取引の「受渡日」が、「約定日」の2営業日後であることに起因します。(2019年7月16日約定分より)
簡単に言うと、取引が成立するのが「約定日」で、決済が行われるのが「受渡日」ということです。ネットショッピングでも似たような感じのときがありますね。取り消しはできないけど、払うのは2日後といった感じで。
同じ考え方で、8月29日の「権利落ち日」に現物株式を売っても、受渡日は2営業日後の9月2日で、既に権利が確定しているので、優待は問題なくもらえるということになります。
受渡日について
受渡日については上記で少し触れましたが、
- これまで3営業日後だった受渡日が
- 2019年7月16日約定分より2営業日後に
変更となります。詳しくはこちらの記事でご確認ください。
株式等 受渡日の変更 1営業日早く。株主優待 クロス取引への影響は?2019年7月16日約定分より変更予定。
株主優待はいつ届く?
株主優待の優待品が届く時期は様々です。
早い場合でおよそ2か月後、遅い場合は、地域の特産品など、8か月~9か月後といった場合もあります。
総じて、季節による影響を受けない優待品であれば、私個人の直近の記録から判断すると、106社中95社、およそ9割の企業が3か月以内に優待品が届くように発送してくれているようです。
おわりに
今回の記事は、初心者の方が株主優待生活を始めるための導入部分、株主優待の基礎知識や優待品の種類、現物株式保有のタイミングなどについての特化した内容になっています。
そして、今後、私が強くおすすめしたいのが、株主優待を株価変動リスクゼロで取得する方法、「クロス取引(つなぎ売り)」についてです。
クロス取引を行うための絶対条件には、「信用取引口座の開設」と「信用取引の知識」があります。
また、クロス取引には、制度信用取引を利用する場合と一般信用取引を利用する場合の2通りのやり方があります。
それぞれについて、今後詳しくご紹介していく予定です。
▼記事を作成しました
株主優待をクロス取引で取得するための信用取引とは?口座開設の審査や取引区分などについて。
※記事の内容は、2019年6月が基準となっています。内容が古くなった場合、最新情報は各自でご確認ください。
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