先日、2018年9月末権利銘柄の優待取りが終了しました。
私は今回、株主優待の権利を取ったすべての銘柄で、GMOクリック証券の一般信用取引を利用しました。
記事はこちら⇒【 GMOクリック証券 一般信用売り 9月優待銘柄で優待クロス取引を解説 】
優待歴は10年以上になりますが、これまで制度信用取引でしかクロス取引を行ったことがなく、一般信用取引でのクロス取引は、初めての経験でした。
一番強く感じたのは、「とんでもなく作業が楽だ!」と「とんでもなく精神的に楽だ!」という気持ちです。
毎月のように、かなりの時間をかけて優待取りの準備をしていましたし、権利取りが終わっても、逆日歩が発表されるまでは、いつも緊張した状態で過ごしていました。
中でも、最も時間短縮につながったのは、逆日歩発生予測をしなくてよかったことです。これがとてもとても楽でした。
そんな経験もあったり、8月に一般信用売りを始めたGMOクリック証券に、ちょうど資金も入れてあったりしたので、「今回は経験のため」と、自分に言い聞かせて、一般のみで優待取りを行うことにしました。
結果は、上に書いた通りです、「楽」。作業の負担、精神的負担は、体感で3分の1以下、もっとかもしれません。
ただ、コスト負担は比例するわけがないので、昔からずっと気になっていた、「制度信用取引を利用したクロス取引」と「一般信用取引を利用したクロス取引」のコスト比較をしてみることにしたのです。
結果は驚くべきものとなりました。やはり、世の中そんなに甘くはなく、「楽」をすれば「楽」をしたなりの結果が出るようです。
クロス取引 「制度信用取引」と「一般信用取引」のコスト比較
まずは結果から。
制度信用取引 利用 | ||||
税引前 配当金 |
受取 配当金 |
配当落 調整金 |
差引口 座残高 |
還付金 |
107,450 | 85,622 | -90,994 | -5,373 | 18,485 |
還付後 増減 |
貸株料 | 手数料 | 逆日歩 | コスト 合計 |
13,113 | -743 | -2,820 | -13,950 | -4,400円 |
一般信用取引 利用 | ||||
税引前 配当金 |
受取 配当金 |
配当落 調整金 |
差引口 座残高 |
還付金 |
107,450 | 85,622 | -107,450 | -21,828 | 21,828 |
還付後 増減 |
貸株料 | 手数料 | 逆日歩 | コスト 合計 |
0 | -6,648 | -3,380 | 0 | -10,028円 |
逆日歩の発生しない「一般信用取引」を利用したことで、約5,600円のコスト増となりました。逆日歩が約14,000円発生しているにもかかわらず、この結果です。驚きです。
前提条件
- 制度・一般ともにGMOクリック証券を利用した場合。
- GMOクリック証券は、一般信用取引手数料、無料キャンペーン期間中。
- 配当金は、GMOクリック証券の「1株あたりの配当金の予想」から算出。
- 貸株料(年率)…制度信用:1.10%、一般信用:3.85%
- 「特定口座(源泉徴収あり)+ 株式数比例配分方式」で損益通算口座であること。
- 関連記事(損益通算口座の条件)⇒ 配当金・配当落調整金等の損益通算は特定口座(源泉徴収あり)株式数比例配分方式を選択【株主優待クロス取引 編】
- 一般信用取引のコストは、クロス取引24銘柄の実際のコスト。
- ほとんどの銘柄を権利付最終日より前にクロスしています。
- 約定日がバラバラなため、手数料コストが制度信用に比べて大きくなっています。
- 制度信用取引のコストは、同じ24銘柄をすべて権利付最終日にクロス取引した場合の仮想コスト。
- 比較のため、売り禁になった銘柄も含んでいます。
- 手数料は「1日定額」を使って、すべて同じ日に約定した場合の金額です。
- コスト合計には、損益通算後、翌年1月に還付される金額が含まれています。
- 関連記事(損益通算の計算方法)⇒ 配当金・配当落調整金等の損益通算は特定口座(源泉徴収あり)株式数比例配分方式を選択【株主優待クロス取引 編】
- 金額はすべて概算値です。実際の金額とは数十円~数百円の誤差が出るものと考えられます。
クロス取引に制度信用取引を利用した場合
逆日歩発生の可能性がありますが、貸株料が安く、在庫を気にして事前にクロスするといった必要がありません。
今回は逆日歩が3日分だったこともあり、私がクロスした銘柄では約14,000円の逆日歩が発生しました。一方で、貸株料に関しては1,000円以下ですので、ほとんど気にならない金額です。
手数料も、1日定額でまとめて発注できるので、分散することによるコスト増はありません。
一番の注目は、損益通算後の還付金です。翌年の1月まで待つことにはなりますが、銘柄数が多い場合は、減っていた金額よりもはるかに大きな金額が還付されます。今回の場合は、約13,000円プラスになる計算です。
結果として、制度信用取引を利用した場合は、4,400円しかコストがかからない計算となりました。
※関連記事(逆日歩〇日分のリスク)⇒逆日歩を制する者は株主優待を制す
クロス取引に一般信用取引を利用した場合
逆日歩発生の可能性はありませんが、貸株料が高く、在庫の取り合いになるので、事前にクロスすると、さらに貸株料がかさむことになります。
私の実際の貸株料は、合計で約6,600円で、制度信用に比べて約5,900円も高くなっています。
手数料も、約定日が分散することによって560円のコスト増です。
損益通算後の還付では、納める必要がなかった源泉徴収分(税金分)がそのまま返ってくるので、配当関連コストはプラスマイナスゼロとなります。
結果として、一般信用取引を利用した今回のコストは、約10,000円でした。つまり約5,600円のコスト増です。
おわりに
今回の権利取りで私がかけたコストは、お世辞にも「上手く抑えた」とは言えない内容ですので、毎回、制度信用取引の方がコストが安くなるとは言えませんが、ひとつの大きな参考資料にはなったと思います(少なくとも私にとっては貴重な資料となりました)。
また、逆日歩3日分でこの結果だったことも大きなポイントだと思います。
ただ…一度「楽」を覚えてしまうと、人間というのはなかなか元に戻すのが難しい生き物ですので、次回以降はきちんと損益を重視して、シビアに行こうと今は考えています。
この記事が、皆さんの楽しい株主優待ライフの一助になれば幸いです。
▼制度信用取引の株主優待クロス取引に関しては、シリーズで詳しくご紹介しています。
株主優待生活をはじめよう!初心者必見!株主優待の基礎知識ともらい方。
※金額・ルール等は2018年10月現在を基準にしています。詳しくは、GMOクリック証券のWEBページ、または、お使いの証券会社のWEBページで必ずご確認ください。
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